【総括レポート2018|大島】東京宝島事業

東京の11の島々には、雄大な自然景観や魅力的な特産品、島ならではの独自の伝統・文化など、様々な宝物があります。2018年度に開始した「東京宝島事業」は、東京の島々が有するこれらの宝物を、島の住民が主体となって磨き上げ、広く発信していくことで、東京島しょ地域のブランド化を目指す取組です。

2018年度は、大島・神津島・三宅島・八丈島の4島で、現地の事業者等が参加し、島のブランド化に向けた議論を行う「島会議」を実施しました。
以下では、大島における2018年度の取組を振り返ります。

<目次>
大島の宝とは? 島の宝について検討
大島の象徴的顧客像(ペルソナ)を設定
大島のブランドコンセプト・アクションプラン
東京宝島ミュージアムでのプレゼンテーション
2018年度 大島の取組
参加者の声

大島の宝とは? 島の宝について検討

第1回島会議では、「島の宝」について議論が交わされました。参加者からは、大島の生活風習に根付いた存在である「あんこさん」(※)や島で活躍する移住者など、「人」が共に島の宝であるという意見が出ました。さらに、保護育成を心掛けなければ消滅してしまう存在として、例えば、新しい道ができたことで誰も通らなくなってしまった椿トンネルなどを挙げ、このままではいずれ消えていってしまうものも大切にしていきたい島の宝だという意見も挙がりました。
(※)もともとは目上の女性に対する敬称で、お姉さんが訛ったものとされている。現在では、市松模様の着物に前垂れ、三原山、椿、波がデザインされた手ぬぐいを頭に着けた女性の通称として使われている。

第2回島会議は、都心に場所を移し、神津島・三宅島・八丈島と合同で実施しました。都心でブランド化に成功している企業や施設の視察、地域ブランディングの専門家による講義を通してブランディングの先進事例を学習。「ブランディング=仲間づくり」や「場づくりの大切さ」など、ここで得た知識を参考に、第3回以降で大島固有の魅力的な個性(=らしさ)を更に磨き上げていきます。

oshima2018_img_01.jpg

大島の象徴的顧客像(ペルソナ)を設定

第3回島会議では、島に来てほしい「象徴的顧客像(ペルソナ)」について議論。大島では、観光客を増やすことを重点的に考え、発信力のある「東京出身の30代後半女性ライター」がペルソナに設定されました。

oshima2018_img_02.jpg

続く第4回では、「ペルソナに伝えたい島の宝物」について議論。「遊覧船」、「馬」、「ダイビング」、「Buddy's Bell(※)」や、シャンパンを片手に海を見ながら夕方のひとときを過ごすシチュエーションが島の宝に挙げられるなど、ペルソナには、「都心に近いながらも手軽に非日常が味わえる大島そのもの」を感じてほしいという島の価値が言語化されました。
(※)バディーズ・ベル。島の北西部、元町港から始まる海岸道路「サンセットパームライン」の終着点「野田浜海水浴場」にある鐘のモニュメント

oshima2018_img_03.jpg

大島のブランドコンセプト・アクションプラン

第5回では、大島のブランドコンセプトとアクションプランを議論。

都心から船で2時間足らず、飛行機なら25分と、アクセスしやすく、活火山の三原山や裏砂漠のほか、サメの大行列やウミガメの産卵といった山と海の魅力が満載で、交通の便の良さや立地条件が最大の魅力である大島。来島者に行きつけになってほしいという思いを込めて、「ちょうどいいが見つかる、行きつけになれる島」というブランドコンセプトが設定されました。アクションプランは、「サンセットパームライン」と呼ばれる海岸線沿いの5kmにもなる道の活用を検討しました。

oshima2018_img_04.jpg

天気のいい日には伊豆半島や富士山が一望でき、夕暮れ時には多くの人が集まるサンセットパームライン。観光客が訪れたくなるような心地よい場所を作るための具体的なプランとして、島内外へPRするためのフォトコンテストの開催、人が集まるカフェづくり、グランピング施設の誘致や屋台村の設置、ファーマーズマーケットや乗馬体験など様々なアイディアが話し合われました。

oshima2018_img_05.jpg

東京宝島ミュージアムでのプレゼンテーション

2019年3月22日に、東京ミッドタウンにおいて東京宝島ミュージアムが開催されました。この中で、島会議参加者が本土の事業者等の来場者に向け、ブランドコンセプトとアクションプランのプレゼンテーションを行いました。
(東京宝島ミュージアムのレポートは「こちら」)

oshima2018_img_06.jpg

プレゼンテーション後、アウトドア系企業やキッチンカー所有の飲食店など、プレゼンの内容に関心を持った様々な企業と意見交換が行われ、今後のビジネスマッチングのきっかけづくりになりました。

2018年度 大島の取組

2018年9月18日 第1回島会議|島の宝について検討
2018年10月23日 第1回 東京宝島会議(全体会議)|11島合同セレモニー
2018年10月24日 第2回島会議|4島合同のフィールドワーク、地域ブランドに関する講演
2018年11月29日 第3回島会議|象徴的顧客像(ペルソナ)について検討
2018年12月13日 第4回島会議|島ブランド・コンセプトシートの作成・アクションアイデアの検討
2019年1月29日 第2回東京宝島会議(全体会議)|ブランドコンセプト・アクションプランの中間発表
2019年2月13日 第5回島会議|ブランドコンセプト・アクションプランのブラッシュアップ
2019年3月22日 東京宝島ミュージアム|プレゼンテーションを実施

oshima2018_img_07.jpg oshima2018_img_08.jpg

大島の多彩な宝物を更に磨き、その魅力をたくさんの人に知ってもらうため、東京宝島事業は今後も続いていきます。

参加者の声

同じ島に住んでいても議論をする機会が少ない島民同士が集まり、話し合いの中でひとつのものを作り上げていくという経験は今までありませんでしたが、考えていることを理解し合ったり、ぶつかり合ったりして、参加者同士のつながりが第1回目から比べて全く違うものになりました。大きな事業に関わっているというメンバーの期待感も高く、今後どのようにアクションプランを実現していくか、引き続き参加者のモチベーションを維持しながら進めていければと思っています。(千葉 努さん 商工会・地域コーディネーター)

レポートをPDFでダウンロード