「第5回島会議」大島で開催!

2月28日、元町にある「開発総合センター」にて、第5回「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

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第4回島会議の振り返り

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む方々が集まり、領域の垣根を超えて島のブランド化について話し合う場。12月20日、大島・元町にある「開発総合センター」にて、第5回「島会議」を開催。様々な業種の11人のメンバーが、一堂に会しました。

まずはファシリテーター主導のもと、第2回東京宝島会議の翌日、1月30日に任意のメンバーと前日のプレゼンテーションに対するブラッシュアップを行った際の内容が共有されました。

大島を盛り上げるためには、一過性の観光だけではなく、リピートしてもらうための仕掛けが必要で、そのステージとして「サンセットパームライン」という場を選んだという、第2回東京宝島会議での大島チームのプレゼンテーションに対して、ゲストアドバイザーからは「そのためにはどんなストーリーが描けるかが重要」というアドバイスがあったことが共有されました。

また、プレゼンテーションの内容が、「ハコモノを作る」という風に見えてしまう点について、ゲストアドバイザーから「土木的な話ではなく、心理的な愛着をもってプロジェクトを進めていくことが大切。そのためには、参加メンバーが義務感ではなく、面白くてつい集まってしまうという関わり方が理想」というアドバイスも受けました。ファシリテーターからは「このメンバーの理想的な関わり方を実現するために必要なのが『ストーリー』で、観光客はもちろん、プロジェクトの参加メンバーが面白いと思えるストーリーを共通認識で持つことが成功の鍵になる」とポイントを整理しました。

どんな将来像を見据えるか、ヒントとしての事例

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第5回島会議の主たる作業は、ブランドコンセプトである「行きつけの島」の体現に向けてのメインとなるアクションプランを固めていくこと。ここで、ファシリテーターから「サンセットパームラインが、どうなったら良いか?」というストレートな問いかけがあり、続けて、この問いかけの真意には「どのような背景(ストーリー)に基づき、どのような姿を目指し(雰囲気)、関わる人が何を大切にしていくか(理念)を明確にすることで、個々のアクションの方向が揃ってくる」と説明がありました。

また、とある観光スポットを例に挙げ、ストーリーや理念、雰囲気が明確でないと、一つひとつの施設に力が入っていたとしても、全体として統一感がなく、訪れる観光客は「"観光スポット"という場に行く」という目的ではなく、個別の施設に焦点が当たりがちになってしまうと説明しました。

そして、参加者に配布した資料から、本田技研工業株式会社の創業者 本田宗一郎氏の「人」としての魅力や、上野のアメヤ横丁の「場所」の来歴など、参考となるストーリーについて、いくつかピックアップしたものを紹介。続くページでは、サンセットパームラインをどんな道にしたいか、それを考えるヒントとして、欧風で高級な雰囲気のある「丸の内仲通り」やサーフカルチャー&DIYの雰囲気がある福岡県糸島市の「サンセットロード」などいくつかの象徴的なストリートを紹介し、参加者に改めてサンセットパームラインの雰囲気を考えてもらいました。

大島チームの考える「サンセットパームラインの理想像」とは?

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様々な参考事例のレクチャーを受け、この日の議論に移ります。まずは、予め参加者の1人が考えてきたサンセットパームラインのストーリーが発表されました。

5kmに渡る海沿いの道、サンセットパームライン
何もないこの道にひとつのカフェができました
このカフェに島民が集まり、賑わいが生まれ
その噂を聞きつけた旅人が集まり活気が生まれ
数年後にはカフェの周りに様々な店舗が集まりました

「今から始まっていくことをイメージして作ったストーリーの一つとしてどうですか」という提案に、他の参加者からは「パイオニアですね。何もないところから生まれていくイメージ」と評価する意見が挙がりました。

それに対し、ファシリテーターは「提案のあったストーリーは、"素敵な景色の見られる場所にカフェを作りたいという人が現れ、そこに人が集まってきました"、という話。そうだとすれば、最初にカフェを作る人が必要。誰が作るかのか、または作る人を募集するのか、もしくは、すでにカフェを経営している人を連れてくるのか。いずれにしても、このストーリーでは、カフェを作ることがアクションプランの中で必要になってくる」と回答。参加者はこぞって「カフェは作りたい」と反応しましたが、一方で、「本当に、ぽつんと一軒カフェがあるだけで人が集まるようになるのか?草木が生えない風の強い道なので、防風林を植えて道を整備したり、バスが通るようになったり、そういうことをやっていくべきなのでは」という意見も出ました。

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様々な意見が交わされる中、「サンセットパームラインの魅力は、地形的なもの。海があって山が見えて、花があって、島々が見える。そして夕日がある。一番のメインは自然。そのストーリーを作っていった方が良い」という意見に、多くの参加者が納得の様子でした。

そこから、「やはり賑わいを生むためには拠点が必要で、最初は仮設でもいいから、使える土地があるのであれば、小さくても始めたい」という流れになりましたが、一方で「建物を立てるということになると、公共事業になってしまう。島会議の支援とは違うので混同すべきではない」という意見もありました。

ファシリテーターが「例えば東屋でなく、カフェにこだわる理由はあるか?」と参加者に質問したところ、福岡県糸島市のサンセットロードにある「サンセットカフェ」の例を挙げ、「カフェが欲しいというより、コミュニティの場が欲しいので、まずは人が集う場所をつくりたい。島民や観光客が利用するきっかけになれば」という思いを語った。そこでファシリテーターが内容を整理して、「島民目線でのコミュニティのベースがないことと、観光客が来た時に最初に訪れる場所がないこと、双方の希望を満たすために、サンセットパームラインにはカフェが必要である」とカフェ設置の背景をまとめました。

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続いて「理念」の整理に移ります。ファシリテーターからの「サンセットパームラインのプロジェクトに関わる人が共有できる大切にする想いは何か?」という質問に対して、ある参加者から「取っ掛かりはカフェでも良いが、潮風に強い樹木を植え、道に魅力を感じた人(島民・観光客)が集まり、そこから徐々にお店が増えて魅力的な道になったら良いなという想いがある」との答えに、「今の話の中には重要な要素がある」とファシリテーター。何でも構わないから外受けの良い場所にしたいということではなく、「島民から愛され続ける場所であること」ということは、理念として皆が共通認識でもっておくべきことだと強調しました。その他にも「数十年掛けて取り組んでいくこと」「景色が変わらないこと」などが挙がりました。

最後に「雰囲気」の整理に移ります。ファシリテーターからの「どんな雰囲気の通りを目指しますか?」という問いに、アート体験や新しい大島の食など「大島ならではのサブカルチャーが生まれてくる場所作り」という意見が挙がりました。カフェの外観などは日本全国の上手な場作りができている施設の雰囲気をお手本にしつつ、ハワイなど別の場所をイメージすることなく、大島ならではの雰囲気を目指すということで参加者の意見が一致しました。

これらの話をまとめ、ファシリテーターは「素晴らしい景色を見ることができる島民に愛されている道がある。カフェが取っ掛かりとなり、そこに魅力を感じた人(島民・観光客)がポツンポツンと集まって、少しずつお店が増えてくる」というストーリーを整理しました。

ひとり一人が考えた想いのこもったアクションプラン

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東京宝島会議でのプレゼンテーションではいくつものアクションプランを発表した大島チーム。ここで、メインとなるアクションプランは何か、3月下旬に開催される「東京宝島ミュージアム」での最終プレゼンに向けた話し合いが行われました。

予めメンバーが話し合ってまとめてきたアクションプランは、大きく分けると「事務局の設立」「拠点となる施設整備」「道の整備」「定期的な集客イベント」の4つ。ここまでの島会議の中でこの中でイベントに関して、「事務局の設立」「拠点となる施設整備」に関しては色々と議論が交わされてきたので、ここでは「道の整備」「定期的な集客イベント」について、ファシリテーターが内容の確認を行いました。

「道の整備」は、魅力ある道にするために全長5kmに渡る道に植樹をしていくこととし、冬の集客を狙うためには1〜4月に開花する植物が理想であるとの具体的なプランが示されました。

「定期的な集客イベント」は、メンバーから募ったそれぞれのアイデアが日毎、月毎、年1回など、時間軸でそれぞれ提案され、どれも大島らしさを体現するために考えぬいたアイデアでした。

例えば、有名デザイナーとコラボレーションしたアンコ衣装を装う「アンコさんなりきり体験」や馬にまたがって海岸線を歩くという非日常を楽しめる「海岸乗馬体験」などの毎日開催できるものから、地物野菜や鮮魚、雑貨を取り扱う週1開催の「ファーマーズマーケット」、年1回、サンセットパームラインで撮った写真を展示する「フォトコンテスト」、青を吸収する海の特性を利用して、波が青白く発光しているように演出するナイトウェイブ社のメディアアート作品「NIGHT WAVE」など、目玉コンテンツも提案。ファシリテーターは、島民も観光客も共に楽しめるイベントが満載で、これらが実現すれば、サンセットパームラインが賑わう良いアイデアだと評価しました。

以上の議論を踏まえ、残りの時間は3月に控えた「東京宝島ミュージアム」に向けた発表内容の整理を行い、来るべき最終プレゼンテーションに向けて準備を進めました。

参加者の声

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