第5回御蔵島島会議 開催レポート

mikura5_img_01御蔵島の昔の生活の様子が残る「南郷山荘」の一室

東京宝島事業では、島の住民が主体となり、各島の魅力について議論し、磨き上げることで、島のブランド化を目指す「島会議」を行っています。12月19日に開催された御蔵島の第5回島会議の模様をレポートします。

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2つのアイデアを深める

全5回の島会議は今回が最後。まずは11月26日に開催された第4回島会議(スタディーツアー)の参加者より訪問先で得た学びを共有したうえで、御蔵島のブランドコンセプトである「『特別感』を感じてもらえるような体験ができる島」を実現するアクションプランの具体化について、話し合いがスタートしました。

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前回までの会議で定まってきた2つのアイデアを深めるべく、「南郷山荘とその周辺を利活用するプラン」を考えるA班と、「島内外の人やコンテンツを島内に繋ぐための場づくり」を検討するB班に分かれ、ディスカッションが行われました。

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御蔵島のアクションのポイントは?

ディスカッションを終えた2班から、それぞれのアイデアが共有されました。 両班で共通する考え方は、スモールスタートです。何かを新たに作ったり、自分たちに大きな負担を掛けたりせずに、すぐにアクションができて、またアクションが止まらないようにするとともに、初期費用が抑えられるプランにするということです。

まず、A班が提案したのは、御蔵島内で「南郷山荘に泊まる会」を立ち上げること。現在、人が住んでいない旧集落にある南郷山荘には、水・電気・通信等のインフラがありません。そのため、怪我人が出た時の対応が懸念されることや、南郷山荘の魅力を広めるには島民自らがその魅力を知る必要があることから、「まずは島民を対象に小さくスタートさせる」ことがベターと判断。

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「最初から泊まりに行くのは敷居が高い」ため、コーヒーや昼食を楽しむイベントや、スタディーツアーで訪問したシブヤ大学が代々木公園で開催していた防災イベントをお手本にしたサバイバルイベントといったアイデアも挙げられました。

続いてB班は、「なんとなく集い交流する、島外の人のスキルを活用してもらえる場を作る」ために、人々が集える場をつくり、ワークショップ、チャレンジショップなどができる場を作ることを提案しました。
ここでも、島内に既にある場を活用して、例えば店舗の稼働時間以外を間借りするなどシェアリングエコノミーの手法を使っていくアイデアが出ています。

ワークショップの案には、島の歴史やロープワーク、柘植を使ったハンコづくりや、しいたけの菌打ち、アクセサリーづくりなどが挙がりました。また、島外の人のスキルの活用として、マッサージ師や美容師などが、島内でそのスキルを活かせる場を作れると良いと話題になりました。

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料理が提供できる場所の候補には、キッチンカーの活用や、島内にある飲食店の営業時間外を活用する案に、宿など既存施設の調理場を活用も提案されました。

いずれの案も「誰がやるか?」がクリアできなければ動かないため、「人と人をつなぐ事務局のような場所があるといいのではないか?」という意見も挙がりました。

1年間の取組を振り返り、今後について考える。

黒田浩太郎さんは島会議を振り返り「南郷山荘を使ったプランは現実的。今日、色々なアイデアが出たことでやれそうだなという手応えを感じました」と語る一方、「島は企業じゃなく一つの社会なので、その中でどう実現するのか? 誰がやるか? お金はどうするのか? というのが曖昧なまま進んでいると感じていることは課題だと思います」と、次年度に向けてクリアすべき課題を見据えます。

参加者の高畑育子さんは、「今年1年を通して、自分たちの求める理想がクリアになってきたと思う。楽しく参加させていただきました」と全5回を振り返りました。

今回までに議論したアイデアは、2月18日に都内で開催されるビジネスマッチングイベントでプレゼンされ、3月14日、15日に表参道ヒルズでイベントも開催される予定です。

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