「第1回島会議」八丈島で開催!

東京宝島事業と島会議について

2018年からスタートした東京宝島事業。東京の島々が持つ素晴らしい景観や特産品、文化などを、これまで以上に有効活用して更なる魅力拡大を図ることを目的に、東京11島の住民の方々が主役となり「東京宝島ブランド」を作り、磨き上げ、広く発信し、島の高付加価値化を実現しようという取組です。この事業の一環として、各島(2018年度は大島(おおしま)・神津島(こうづしま)・三宅島(みやけじま)・八丈島(はちじょうじま))にてブランド化に向けた議論を行う場「島会議」を実施。それぞれの島で、様々な取組をされている方にお集まりいただき、2018年度内で5回の島会議を開催します。

9月11日、2018年度島会議を実施する他の3島(大島・三宅島・神津島)に先駆けて、八丈島で「第1回島会議」を開催。その模様をレポートします。

「東京宝島」事業ガイダンス

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取組む住民が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。2018年度からスタートした東京都の「東京宝島事業」の一環として、年5回の実施を予定しています。

「島会議」では、それぞれの島の住民自身が自らの島の宝を見つめ、議論や共有を進めていきます。また、それだけではなく、都心でのフィールドワークを通して学び、必要に応じて外部の専門家の協力も得ながら、これからの島づくりを考え、島のブランド化・高付加価値化を目指すという、これまで東京の島々で行われてきた地域振興事業とは異なる取組となります。

9月11日、八丈島の八丈町交流施設(底土船客待合所内)で、第1回島会議が開催。農家や酪農家、くさや製造業、宿泊業や自然ガイドなど、個性豊かな10人のメンバーが集まりました。

はじめに島会議開催のご挨拶があり、事業を担当する東京都 総務局 行政部 池野大介事業調整担当課長が「東京の島しょ地域には様々な魅力があるが、地理的要因等から、それらを十分に活かしきれていないという側面もある。そうした課題も踏まえ、島しょの宝物に付加価値をつけていくための戦略を練っていくことが、この会議の目的の一つ。その主役は皆さん自身。専門家によるバックアップもしていくので、是非この場を活用し、島全体を盛り上げていく取組として欲しい」とメンバーへ呼びかけました。続いて、事業のガイダンスとして、事務局より島会議の目的や年間の会議の流れを説明後、アイスブレイクへ。

お互いを知り、可能性を探る「他己紹介」

島会議を進めるために集まったメンバーは、全員がそれぞれ顔見知り。お互いのしている仕事や活動についても何となく知ってはいるものの、活動の背景にある想いなど、改めて聞いてみたいことも。そこで、アイスブレイクとして、自己紹介ならぬ「他己紹介」の時間を設けました。

他己紹介では、3人ずつのグループに分かれてメンバー同士がお互いのことを質問し合い、後ほど全員の前でお互いを紹介します。質問を交わすうちに話が弾み、あちこちで笑顔や笑い声が飛び交っていました。普段は聞くことのなかった相手の想いに触れ、真剣な表情で耳を傾ける姿も。

個性が表れる「コラボレーションアイデア」

グループ毎に「他己紹介」と併せて、「これからの島をもっと魅力的にするためにどうすればいいか」というテーマで、3人それぞれ異なる事業分野を活かしたコラボレーション企画を考え、発表してもらいました。

「ディナーを味わいながら八丈太鼓のライブが楽しめる、ナイトエンターテイメント」「コミュニティラジオとWEBをメディアミックスした島の魅力の情報発信」「ヨガと体験農園を組み合わせたツアー」など、メンバーの個性を反映した企画が披露されました。

また、チーズなどの乳製品や「くさや」のつくり手(発酵)と光るきのこ(発光生物)などを案内する自然ガイドの3人による「チームはっこう」が誕生するなど、息の合った姿も見られました。

ブランディング=島の魅力を編集すること

今後の議論に向けた準備運動としての他己紹介終了後は、「島のブランド化」という「島会議」開催の目的意識を共有するため、事務局より「ブランド」や「ブランディング」について、他地域事例を含めたプレゼンテーションを実施。

プレゼンテーションの中では、「島のブランディングとは、島の魅力を編集すること」とし、島に暮らす人たち自身が「今の延長線上の未来予測」ではなく「理想を具現化する未来創造」に取り組んだ事例として、奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島)の沖永良部島(おきのえらぶじま)での取組を紹介。

島の住民が、自ら集まり、主体的に話し合う中でさまざまな分科会が生まれ、100年先の子孫たちに魅力ある島を受け継ぐための振興計画「Island Plus(アイランドプラス)」などをつくり上げた姿は、この「島会議」と重なりました。

自由な意見を出し合う「グループワーク」

続いて、会議メンバーが2組に分かれグループワークを実施。各自が未来に受け継いでいきたい「島の宝(=魅力・良いと感じるコト・モノ・ヒト)」を書き出し、話し合いながら1枚の紙にまとめていきます。

最後に、一人ずつ自分が特に残したいと思う「島の宝」について発表しました。

Aチームからは、八丈富士・ウミガメ・ザトウクジラ・明日葉・島寿司・しいたけ・固有種のクワガタ・星空・園芸・人の良さや純粋さ・欠航時のおもてなし・自然環境の保全とそのための観光の受け入れ体制・玉石垣・黄八丈・昔ながらの変わらぬ地域の良さが挙がりました。

Bチームからは、くさやを育んだ水・歴史・次世代を育成する八丈高校・黄八丈・火山・防空壕などが挙がり、なかでも島の環境や産業全てをつなぐものとして「水」の存在がキーワードとして浮かび上がってきたと、まとめました。

これらの内容を受け、事務局からは「観光資源としての活用の視点」と「資源を守って行く視点」の両者が出てきたことを指摘し、「島のこれまでの歴史が育んだ貯金を切り崩すのではなく、元本から利子を生み出していけるものをつくろう」と呼びかけました。

参加者の声

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