
それでもここで暮らしたい!?「-IJYU- 青ヶ島移住体験プロジェクト」で島生活のリアルを体験!
東京の島々に眠っている魅力を見つけ、磨き、発信する「東京宝島」プロジェクト。今回は、2023年12月に青ヶ島にて開催された移住体験ツアーをご紹介!「東京の秘境」と名高い青ヶ島。離島での生活に憧れを抱いて移住してくる人もいる中で、本ツアーを企画した背景にあった思いとは…? 主催者の鳴海貴斗さんにお話を伺いました。
島生活の大変な部分も、
しっかり盛り込んだ。
-青ヶ島では移住促進をされているとのことですが、今回の取り組みについてお聞かせいただけますでしょうか。
鳴海さん:「-IJYU- 青ヶ島移住体験プロジェクト」と題して2023年12月に計2回、6泊7日の移住体験ツアーを行いました。未就学児1名を含む6名が参加され、岡部地区にある民宿に宿泊して、下記のような体験をしました。
・施設見学(村役場、学校、図書館、診療所、保育園、理学療法センター等)
・職業見学、体験(漁業、製塩、焼酎造り、椿絞り)
・島の子どもたちとの「島の未来を考えるワークショップ」
・居酒屋での交流会
プログラムも2種類に分けて、移住後に希望する働き方から「青ヶ島で仕事を探す方」と「リモートワーク前提の方」に向けたものにしています。
-1週間という長めの行程、そして移住後の仕事・働き方のトライアルなど、青ヶ島で暮らすことへのリアリティを感じます。
鳴海さん:そうですね。自由時間を全行程の1/3程度と長めに設けたことで、大半の方がリモートワークをしていましたし、観光とは違ってあたかも日常生活を送っているような体験を提供できたと思います。参加者の中にはライター業やインフルエンサー志望の方も多く、リアルタイムで青ヶ島のことを発信されていました。
左:ひんぎゃ(地熱釜)体験 / 右:国内有数と言われる星空の鑑賞会も
-リモートワークによって、移住しやすい時代になったことが垣間見えるエピソードですね!
鳴海さん:たしかに移住へのハードルは下がったように思えますし、実際に移住してくる人も少なくありません。しかし青ヶ島では、一般的な「島移住」のイメージとの落差で挫折してしまう人も多いのが現状です。それゆえ今回は、「良くも悪くも現実を見てほしい」という思いからこのツアーを企画しました。
-なるほど、開催の背景には理想と現実のギャップがあったのですね。青ヶ島での現実を知ってもらうにあたって、配慮されたことはありますか?
鳴海さん:まず主催者としては、正直であることを心がけました。交通手段や食料確保の難しさ、霧が多く鬱々としがちな気候...と、島生活での大変な部分も包み隠さずプログラムに盛り込んで、しっかり体感していただこう、と。
「憧れの離島ライフ」と「青ヶ島のくらし」の
ギャップを解消できた。
-ヘリコプターの予約から参加者自身で行い、そして食事の大半は自炊と伺いました。その不便さを体験してもらうことは、主催者としては勇気が必要ですよね。
鳴海さん:そうですね...。しかしその甲斐あって、参加者の方々からも「現実を知ったうえで受け入れよう」という気持ちが感じられました。そのうえ、自由時間にアポ無しで島民に会いに行く参加者が大半で、不便だからこそ「より島を知ろう」という積極的なコミュニケーションが引き出せたように思えます。快く対応する島民の姿にも心強さを覚えましたし、参加者・島民お互いにとってよかったのではないでしょうか。
-正直なスタンスが、より深い交流を生んだのですね。島の現実をさらけ出したからこそ、理想とのギャップの解消につながったように思えます。
鳴海さん:はい。参加者からも「(今すぐではなくても)青ヶ島に住みたい」「二拠点生活するなら、青ヶ島がいい」といった、ポジティブな感想を頂くことができました。主催者として、ツアー終了後も継続してコミュニケーションを取って行きたいところです。
-非常に実りのあるツアーになったようですね! 最後に、今後の取り組みや課題、目標などお聞かせいただけますでしょうか。
ツアーに関しては、今後も継続して開催します。そのPRのため、今回いただいた感想・意見も取り入れた島暮らしのガイドブックも作成しました。
島暮らしガイドブック(取材時段階の表紙デザイン)
そして当面の課題ですが、悪天候で来られない・帰れない際の対応になります。こういった交通インフラの弱さもあり、青ヶ島では観光を主産業とするには難しく、持続的な発展のためには移住〜定住の促進が欠かせません。この先も今回のような取り組みを続けて行って、移住者が次の移住者を呼び込むような流れを作って行けたらいいですね。
-ありがとうございました!ありのままの現実を見せる、そんな「-IJYU- 青ヶ島移住体験プロジェクト」のあり方に、移住、そしてその先の定住促進への強い思いを感じました。これから先、青ヶ島が移住者とともにどのような宝を生み出すのか、非常に楽しみです。