第3回式根島島会議 開催レポート

式根島の玄関口「野伏港」。防波堤には"ようこそ式根島へ"のイラストが

東京宝島事業では、島の住民が主体となり、各島の魅力について議論し、磨き上げることで、島のブランド化を目指す「島会議」を行っています。10月7日に開催された式根島の第3回島会議の模様をレポートします。

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現状をデータで把握して「古き良き」島の魅力を再発見

第3回島会議の冒頭は、前回の宿題「式根島の現状を知るための情報収集」の結果報告として、今年4月~9月に商工会が行った「来島者アンケート」の集計が発表されました。来島目的のほとんどは「観光」。観光目的で訪れた人のリピーター率は36%。そのうち「4回以上」が50%を占めることがわかりました。

次に「アセット(地域資源)マップ」を制作。白地図に民宿、空き家、店、温泉などの位置を書きこんで、現在の島の様子を可視化しました。

ここでファシリテーターは、生活の場が南東地域に集中する小さい島ならではの地理的特徴に注目。「リピーターが印象に残った場所として民宿や商店の名前を挙げています。日本の古き良き姿を凝縮したような街並みの中で体験する、温もりを感じる人との交流は島独自のもの。式根島の大きな魅力では」とコメントしました。

キーワードは「ヒト」、見えてきた式根島ブランドの方向性

「現状」を共有した参加者たちは、地域資源となる言葉を付箋に書き出しました。出された意見を「強み」「弱み」に分け、その「強み」をブランド価値として、また、「弱み」の克服を探ることで価値として高めることができないか、議論を深めました。

出された意見をヒト・モノ・コト・バにグループ分けすると、「何ごとも自分たちでやる」「昔ながらの優しさ」「民宿のカラーが個性的」といった「ヒト」を強みとする言葉が多く挙がりました。

また「弱み」としては、「ピークシーズンの忙しさが尋常ではない」「人手不足で島内の食堂が激減」「年間を通した就業ができないので若い人材を呼べない」などの問題点が上げられました。「イキイキと心地よく島で暮らす『ヒト』を今後のブランディングとして活かすために、議論を続けたい」。ファシリテーターが参加者に解決策を募りました。

ヒトが真ん中。「交流のハブとなる場所」作りを目指して

解決策の議論では、「季節を問わず雇用を増やす新しい特産品を生み出す」「高齢者が共同経営する『おばあちゃん島食堂』を作り交代制で郷土料理をふるまう」「子育て世代に注目されている働き方『ワーケーション』の場に」など具体的な意見が飛び交いました。

特に「『ヒト』の魅力を体感できるようなコミュニケーションスペースの設置を」という提案には「島の人自らが観光客の案内人に」「食堂も併設」などの意見が重なり、「あらゆるヒトの交流のハブとなる憩いの場作り」として集約され、アクションアイデアの1つに掲げられました。

参加者の梅田弥寿博さんは、「式根島のことを、いろいろ発言できる会議の場が出来てよかった。会議が進むうちに、島の人たち自らが、式根島の良いところを見つけようとしていると感じられる」と話しました。

「ヒト」を式根島ブランドとして昇華させるヒントを探るべく、次回はスタディーツアーに出発します。

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