【総括レポート2019｜新島】東京宝島事業
東京の11の島々には、雄大な自然景観や魅力的な特産品、島ならではの独自の伝統・文化など、様々な宝物があります。2018年度に開始した「東京宝島事業」は、東京の島々が有するこれらの宝物を、島の住民が主体となって磨き上げ、広く発信していくことで、東京島しょ地域のブランド化を目指す取組です。
2018年度の大島・神津島・三宅島・八丈島の4島に続き、2019年度は利島・新島・式根島・御蔵島・青ヶ島・父島・母島の７島で現地の事業者等が参加し、島のブランド化に向けた議論を行う「島会議」を実施しました。 以下では、新島における2019年度の取組を振り返ります。
<目次>
新島の宝とブランド価値
新島の象徴的顧客像（ペルソナ）
新島のブランドコンセプト・取組アイデア
ブランディング報告会でのプレゼンテーション
2019年度 新島の取組
参加者の声
新島の宝とブランド価値
新島の島会議は、島の宝について整理するところからスタート。ヒトのつながりや島民と来島者が交流できる体験、「コーガ石」やオリーブ色の「新島ガラス」、７kmに及ぶ白砂の海岸線が続く羽伏浦海岸、さらには「オープンマインドな島民性」など、島の人たちが大切にしている特徴が宝として抽出されました。そして、新島の「ブランド価値」は、魅力的な島の宝に触れることで生まれる「島の仲間になれる『つながり』」であると定義しました。
議論が深まるにつれ、島の宝は島内に点在していることに話が及び、その宝に出会う手段としての交通手段が限られ移動が困難であるという課題も表出しました。
新島の象徴的顧客像（ペルソナ）
島に来てほしい「象徴的顧客像（ペルソナ）」は、「島への理解があること」を大前提に、遊び心や好奇心があり、創造性のある仕事をしながら一緒に何かを作っていきたいと思える人が望ましいという思いから、「島を自分の拠り所にできる人」に決まりました。
島の仲間になれる「つながり」を生み出すために、来島者に島に点在する魅力的な人や場所と触れ合う体験を提供したいという思いから、続くスタディツアーではモビリティ・プラットフォーム「CREW（クルー）」と、地域の暮らし体験マッチングサービス「TABICA（タビカ）」の担当者を島に招き、島内視察や意見交換を行いました。このスタディツアーでは、島内の交通問題を改善しながら、新島ならではの体験プランを作っていくヒントを得ました。
新島のブランドコンセプト・取組アイデア
島会議を重ねるなかで導き出された新島のブランドコンセプトは、「新しい、でつながる島」。
ブランド価値をペルソナに伝えるための取組アイデアは「島内に点在する魅力をつなぎ、案内するための新たな二次交通の提供と体験コンテンツの創出」に。スタディツアーで具体的なヒントを得た「CREW」と「TABICA」の導入や、組み合わせを検討。
例えば島内で採掘されているコーガ石造りの交流スペース、ガラスミュージアムを移動しながら、コーガ⽯にまつわる新島の歴史・⽂化、ガラスについて学習し、その後、島民とお茶をしたり、実際に作ったグラスで一緒にお酒を飲んだりする体験をしてもらうことで、島の宝を来島者に伝えていくプランを検討しています。
ブランディング報告会でのプレゼンテーション
2020年2月18日に、東京・丸の内vacansにて東京宝島ブランディング報告会が開催されました。この中で、島会議参加者が本土の事業者に向け、ブランドコンセプトと取組アイデアのプレゼンテーションを行いました。 （ブランディング報告会のレポートは「こちら」）
プレゼンテーション後、キャンピングカーのシェアリングサービスやEバイクを手がけるアウトドアメーカーなど、新島の取組アイデアに関心を持った様々な企業と具体的な意見交換が行われ、今後の取組アイデア具現化のきっかけ作りになりました。
2019年度 新島の取組
2019年6月19日 第1回島会議｜島の宝について検討
2019年7月8日 第３回東京宝島会議（全体会議）｜スタディツアー、地域ブランドに関するトークセッション
2019年7月9日 第2回島会議｜象徴的顧客層（ペルソナ）のイメージ共有
2019年９月3日 第3回島会議｜ブランド価値について検討
2019年10月16日・17日 第4回島会議｜スタディツアー
2019年11月25日 第4回東京宝島会議（全体会議）｜ブランドコンセプト・取組アイデアの中間発表
2019年12月2日 第５回島会議｜取組アイデアのブラッシュアップ
2020年２月18日 東京宝島ブランディング報告会｜プレゼンテーションを実施
島内に点在する魅力的なスポットや、オープンマインドな人たち。そんな新島の宝をたくさんの人につないでいくために、東京宝島事業の取組は今後も続いていきます。
参加者の声
全ての工程を良い形で終え、一緒に動いてくれるメンバーが立ち上がったことは大きな一歩だと感じます。2020年度に向けては、決めた方向に進めて、事業化していくしかありません。新島に合った「あり方」を模索して、アップデートを重ねて行くことが重要だと実感しています。また、ブランディング報告会で商談させていただいた企業のサービスを試してみるなど、出来そうなことは挑戦してみるのも大切だと思います。「新島、前より良くなったね！」と言ってもらえるような宝島作りを進めていきます。（⻄胤輝之進さん 地域コーディネーター・新島村商⼯会）