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世界でも珍しいオリーブグリーン 新島ガラスアートセンター 野田收氏、由美子氏 インタビュー

取組レポート

新島ガラスアートセンターのディレクターであるガラス作家の野田收氏、由美子氏に新島ガラスの歴史と魅力についてお話を伺いました。

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新島の恵みが生み出す「オリーブグリーン」

―なぜ新島ガラスは、これほど美しいオリーブ色をしているのでしょうか?

実はこの色は、不純物が混ざった天然の色なんです。通常のガラスに純粋な鉄を加えると信号機のような緑になりますが、新島の特産である「コーガ石(抗火石)」をそのまま溶かすと石に含まれるさまざまな成分が複雑に混ざり合って、この独特のオリーブ色が生まれます。天然の石をそのままガラスにしているのは、日本では新島だけなんです。

―原料となる「コーガ石」自体も非常に珍しいものだそうですね。

コーガ石と同じ成分の石は、世界中でイタリアのリパリ島と、ここ新島の2ヶ所でしか見つかっていません。かつては酸に強い特性を活かして工場の内壁に使われたり、多孔質で音を吸音するため音響会社の録音室壁材に使われたりして重宝されていました。

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野田收氏、由美子氏の活動と作品

―野田ご夫妻がこの地で活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

夫の收が新島出身なんです。私たちはアメリカの大学院やピルチャック・ガラス・スクールでガラスを学んでいました。ちょうど帰国した頃、新島の特産であるコーガ石が建材としての需要を失い、村が新しい産業を模索していたんです。そこで「ガラスの原料になる」とわかり新島ガラスの開発の相談を受け、2年間の準備期間を経て1988年にセンターを立ち上げ、建築中から新島に入りコーガ石を炉材に使った溶解炉の設備をデザインし、施工をしました。

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―新島ガラスを代表する作品や技法について教えてください。

最も象徴的なのは『緑のりんご』です。かつて米国のベーカー大使が来島した際に手に取られたもので、「緑のりんごは知性の象徴」と言われることから、現在は東京都の贈答品にも使われています。特徴的な技法では、夫が開発した「突き目」があります。新島ガラスはアルミナやカリを多く含み、表面が非常に硬く光沢が良いことから、高級感のある質感が特徴で、この特性を活かして熱いうちに一気に内側から突いてカタチを刻み込みます。

―最近では海外からの注文も増えているとか。

インバウンドの影響もあり、SNSを通じて世界中から注目されています。先日も、イギリスのバイヤーから140個の注文を受けて納品したばかりです。京都のギャラリーを通じて私たちの作品を知り、わざわざコンタクトをくれました。

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国際的な拠点としての「新島国際ガラスアートフェスティバル」

―毎年開催されている「国際ガラスアートフェスティバル」には、どのような意義があるのですか?

日本のガラス界がまだ閉鎖的だった時代に、夫が「国際的なワークショップをやりたい」と条件を出して始めました。世界中の作家が作品を寄贈してオークションを行い、その収益で日本の若者をシアトルの学校へ送り出す「新島スカラーシップ」制度を続けています。これまでに90名以上の若手作家を支援してきました。今では、かつて生徒として来た人たちが、今度はアシスタントとして世界中から戻ってきてくれる、素晴らしい循環が生まれています。

―併設されている「ガラスアートミュージアム」では、何を見ることができますか?

フェスティバルのために来島した、世界的な巨匠たちの作品を約80点収蔵しています。アメリカの人間国宝第1号であるデイル・チフーリ氏の作品や、ベネチアの伝統技法を駆使した作品、さらには新島の廃棄物処理場から出たエアコンの銅管や導線をコーガ石の砂に埋めてガラスで繋げて鋳造したフロアキャスティング作品など、ここでしか見られない貴重な壁面の現代ガラスアートが並んでいます。

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次世代へ繋ぐ新島ガラスの伝統         

―これからの新島ガラス、後継者についてはどのようにお考えですか?

幸いなことに、息子が後を継いでくれる予定です。35年以上続けてきたことで、かつて授業を受けた子どもたちが今では親になり、自分の子を連れて買いに来てくれるようになりました。この新島にしかない文化を、これからも大切に繋いでいきたいと思っています。

―新島ガラスを通して伝えたいことを教えてください。

ここには、世界中の巨匠たちが新島を愛して残してくれた貴重な作品がたくさんあります。地元の原料があり、それを世界中の人が認め集まって、人が育っていく場所。新島という「島」空間だったからこそ密度も高く、この自由で新しいガラス文化を35年以上継続してこれたのだと思っています。ぜひ、新島ガラスアートセンターの階段(團紀彦氏設計)を登って、島と人と海を繋ぐ景色と一緒にガラスを楽しんでほしいですね。

新島ガラスアートセンター
https://www.niijimaglass.org/

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