幻の青ヶ島焼酎×特別料理のラグジュアリーなペアリング!「青酎・あおちゅう」一般顧客向け試飲体験会

東京の島々に眠っている魅力を見つけ、磨き、発信する「東京宝島」プロジェクト。今回ご紹介するのは、青ヶ島で製造される幻の焼酎「青酎・あおちゅう」の試飲イベントです! 2024年2月に日本橋エリアの5つ星ホテルや高級居酒屋など、3店舗において完全予約制・各10名限定で開催。参加者は生産者・販売者によるトークセッションや焼酎約10種の試飲、各店舗が腕を振るった特別料理やドリンクを楽しみました。東京の秘境とも称される青ヶ島の島酒と、リッチな雰囲気が漂う都心の飲食シーンの相性は…?トークセッションに登壇された杜氏兼「青ヶ島酒造合資会社」の広報担当・奥山晃さんにお話を伺いました。

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島外の愛好者と話せたことが
何より嬉しかった。

-当日のトークを拝聴しました! 冒頭、一般的な焼酎の製法で造られたものは漢字で「青酎」、そして江戸時代から続く製法のものは平仮名で「あおちゅう」と表記するという話から、一気に引き込まれてしまいました。そのような違いがあるのですね。

奥山さん:はい。お客さんからも同様の感想をいただきましたが、麦麹を用いた二次仕込み製法のものを「青酎」、蔵付きの自然麹を用いたどんぶり仕込み製法のものを「あおちゅう」としていることは、なかなか説明抜きには気づけませんよね。平仮名の「あおちゅう」の方は大量生産が難しく希少なものになりますが、伝統を継承し生産者の個性も色濃く反映されて味わい深いので、一度飲んで頂きたいです。

-会場で好評だった奥山さんのあおちゅう「奥山直子」が象徴していると思ったのですが、その名を冠した奥山さんのお母さまが93歳の今も製造の現場に立ち続けていること、そして元来島で男性の帰りを待つ女性の手によって家庭で飲むためだけに造られていたことなど、青ヶ島の焼酎が持つ背景や物語にいたく感銘を受けました。

奥山さん:ありがとうございます。今回のイベントにおいては今おっしゃっていただいたような、普段は聞けないお客さんの声を直接聞けたことが一番よかったと思います。愛好者の存在を実感できたり、今回のような出張イベントを「ずっと続けてほしい」と言われたのは嬉しかったですね。

-たしかに、上陸の難しさで知られる青ヶ島へ、気軽に島酒を味わいには行けません。参加した人たちにとっても、青酎・あおちゅうの魅力を知るうえで貴重な機会だったのでしょうね。

奥山さん:そうですね。個性的な酒ゆえ数種類飲み比べて初めてわかる良さもあるので、今回はたくさん持って行けてよかったです。多数のお客さんから「違う種類も飲んでみたい」「すぐ買います」と言っていただきましたし、お店の常連さんから裾野が広がればいいなと思います。



スペシャルな料理とカクテル。
奥山さんおすすめの意外な組み合わせも...

-酒の場でのクチコミは効果が大きそうですね...! 過去にも試飲イベントを開催してきた中で、今回はなぜ都心の、しかもハイクラスな店舗で開催されたのでしょうか?

奥山さん:これまで開催してきた試飲会・勉強会は、酒屋さんやバイヤーさん、飲食店など酒を提供する側の方たちが対象で、実は一般顧客の方々を対象とした試飲会は今回が初めてなんです。商品自体がそこそこ高額ということもあり、提供できる場も高級店になりました。お店側で青酎・あおちゅうが好きそうな常連さんを集めてくださり、3会場ともお客さんの満足そうな顔が見られて感無量でしたね。

-お酒とお客さんとの幸せなマッチングですね! 店舗の方でも、以前の試飲会に参加されたバイヤーの勧めで料理人・バーテンダーといった方々も青酎・あおちゅうのファンになり、お店で提供するようになったと聞きました。その理解や愛着が、結実したように思えます。

奥山さん:そうですね。各店舗で提供されたオリジナルメニューを見ても、青酎・あおちゅうへの愛着が感じられました。どれも店舗ごとに独自の視点で、かつ我々の想像を超えるものでしたね。

2024-aogashima3_1.png快積八衛(2024年2月3日(土))
左写真、右が奥山さん

2024-aogashima3_2.pngおてんとさん(2024年2月4日(日))

その中でも、個人的には都内ラグジュアリーホテルにて提供されたカクテルが衝撃でした。柚子の香りと味噌の塩味を感じつつも、最後にちゃんとあおちゅうの味がして。こちらはレギュラーメニューになっているので、この先もお客さんと青酎・あおちゅう、そして青ヶ島をつなぐきっかけになれば嬉しいです。

-唯一無二なあおちゅうが、さらに唯一無二なカクテルとなったのですね! 特別料理とのペアリングも好評だったうえに、奥山さんおすすめアレンジの一品も提供されたと伺っています。

奥山さん:私はあおちゅうをアイスにかけて食べるのが好きなんですが、会場でやってみたところ思いのほかウケました。バニラやチョコなど種類にこだわりはないのですが、値段が高めの濃厚なものがおすすめですね。あおちゅうの苦味や渋みが引き立つんです。

-市販のアイスにおいても、リッチなものとの相性が良いようですね(笑)。そういったマニアックな楽しみ方を知ることができたりなど、酒好きの人には堪えられないイベントだったのではないでしょうか。

奥山さん:そうですね。私自身お客さんとずっと話していましたが、お客さんどうしでも産地による焼酎の違いや、アイリッシュウィスキーとの共通点・相違点を語り合っていました。今回、島の外で青酎・あおちゅうが人と人を結ぶ様を目の当たりして、生産者としては飲食店で飲まれる喜びを知れたように思います。願わくばその先、お店で買って家でも飲んでほしいですね。

*青酎・あおちゅうは、下記のお店で購入できます。
酒の勝鬨 https://katidoki.com/shop/
東京愛らんど https://www.tokyoislands-net.jp/shop/store/

島の外でも、青酎・あおちゅうは
特別なお酒であってほしい。

-お客さんの反応を伺った限り、すでにご自宅で飲んでいる人も多そうですね!試飲イベントに関しては、今後も継続して開催されるのでしょうか。

奥山さん:はい、続けてまいります。今回はお客さんと話すことに精一杯で試食・試飲がほぼできなかったので、次の課題としてはお客さんとゆっくり飲みながら話せるタイムテーブルにすることでしょうか...(笑)。次回都心に出た際は、まず今回と同じお店にお客さんとして顔を出してみたいですね。

-お客さん、お店の方も再会を喜ばれるでしょうね!今回のイベントで青酎・あおちゅうが島外でも愛されていることを実感されたかと思いますが、この先「青酎・あおちゅうがこうあってほしい」というイメージはありますか?

奥山さん:青酎・あおちゅうは、島の人でも毎日飲むようなものではないんです。たとえば両親への誕生祝いで買いにくる人もいますし、特別な日に飲む、特別なお酒です。ですから、島の外へ出ても特別なお酒だと思っていただけたら嬉しいですね。
そしてその前に、そもそも東京都に島酒があること自体知られていませんし、「アオチュウって何?」というのが現状だと思います。人口わずか160人ほどの島に8人の杜氏がいて、江戸時代からの原始的な造り方を守り続けている。そんな文化的背景を持った個性的で味わい深い酒であることを、まずはもっと知って頂きたいなと。

-知れば好きになる潜在的なファンは確実にいると思いますし、試飲会をきっかけに青ヶ島を訪れる人も増えるといいですね!

奥山さん:そうですね。試飲会で出会った方が来島されて「あの時は楽しかったです」「その後も飲んでます」と言ってくださるのは、とても嬉しいです。事前にご連絡頂ければ工場を案内しますし(連絡先は青ヶ島酒造 合資会社サイトを参照)、もちろんお酒の試飲、販売もいたします。芋を削るなど、お手伝いも歓迎です(笑)。昨年移住してきた人が今私の元で酒づくりを勉強していますが、今後青ヶ島を訪れた中から青酎・あおちゅうを未来につないでくれる人が現れるといいなと思います。


-奥山さんはじめ杜氏の皆さんが丹精込めて造る焼酎、そしてそれを育んできた青ヶ島に、強く心を惹かれました。貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

青ヶ島という極めて独自な環境が生んだ宝であり、都会で味わう贅沢な食事にもマッチする青酎・あおちゅう。特別な時間に、皆さんもぜひ飲んでみてはいかがでしょうか 。