島の個性をキャラクター化した「島むすめ!」たちが、島を未来へ連れて行く。
島の特徴をとらえた擬人化キャラクターで、新しい魅力を発信。
―島の魅力を伝える手段として、キャラクターをつくろうと思われたきっかけからうかがえますでしょうか。
近年は東京の島の人気も徐々に高まり、多くの観光客の方々に訪れてもらえるようになりました。でも、来島する人が増えるのを嬉しく思う反面、ただ島に来て観光するだけでは伝わりきらない独自の文化や自然があるのに、というもどかしい思いも感じていました。
島のことをもっと多くの人に知ってもらい、島の伝統や文化、自然にも目を向けてもらうための取り組みとして、島を擬人化したキャラがあったら、楽しいし面白いんじゃないかと思ったんです。使い捨てのキャラクターではなく、各島の特徴をキャラづくりに取り入れて、バックボーンや性格をしっかり作り込むことで島の個性を伝えられると考えたことが、現在の「島むすめ!」プロジェクトの始まりです。
―東京の島としては、今までにない新しい形での情報発信になりますね。だからこそノウハウが無い中での挑戦だったと思いますが、具体的にはどのようなステップで進められたのでしょうか。
島のメンバーだけでは実現できませんから、まずプロジェクトアドバイザーとして株式会社エンバウンドの代表、橋本竜さんにお力を借りることにしました。橋本さんは、全国各地の温泉地を美少女キャラクター化した地域活性化プロジェクト、「温泉むすめ」をプロデュースされているコンテンツプロデューサーです。キャラクターデザインも、同じく「温泉むすめ」を手がけられた漫画家/イラストレーターのらぐほのえりかさんに担当していただけることになり、とても嬉しかったです。
キャラクターの設定としては、それぞれの島に固有の動植物や自然の名物の中で、人間に憧れて「人間になりたい」と願った個体が、島々をつくったカミサマの仕業でヒトの姿になってしまう。半分人間・半分妖精の彼女たちが、一人前の人間になるために島を盛り上げ、人と交流していく......というものです。それぞれのキャラクターが島のことを、人間に対してPRする活動の裏付けになっています。
青ヶ島を皮切りに、日本中の島々へと展開したい。
―その中で生まれたのが、第一弾の島むすめ、「青ヶ島ひんぎゃ」なのですね。
はい。「ひんぎゃ」とは青ヶ島の火山の地熱蒸気のことで、青ヶ島とは切っても切り離せないものです。キャラクターデザインにも、「青」という文字のタイポグラフィーや、青ヶ島の二重カルデラを連想させる二重のフリルスカート、島で育てられている黒毛和牛のモチーフの入った帽子など、島の特徴を盛り込んでいただきました。青ヶ島の「還住」の歴史を知って、絶対に諦めない人間の力強さに興味を持った......という設定もあるんですよ。
-形として現れないところまで、丁寧に設定がつくられているのですね。キャラクターの存在そのものが島に興味を引くきっかけになるのはもちろん、キャラクターを通じて様々な広がりが期待できそうですね。
2月には、東京都立川市で青ヶ島ひんぎゃのお披露目イベントを行ったところ、幅広い年代の方々にお越しいただくことができました。最初から青ヶ島に興味があった人だけでなく、キャラクターの魅力を起点にした情報の広がりで、初めて青ヶ島のことを知ってくれた人がいたのも嬉しかったです。
今後もWebサイトの開設や、島の宿泊施設へのキャラクタールームの設置、グッズ展開など、いろんな展開が考えられると思います。最初は青ヶ島から東京の各島へ、そして将来的には日本全国の島々にも展開できるプラットフォームになったらいいなと思っています。
-それぞれの島が、どんな性格のキャラクターになるのか楽しみですね。キャラクターをきっかけに実際に島を訪れる人が現れることや、キャラクター同士のコラボレーションなどにも期待しています。
島に住む人たちに愛されたキャラクターが、ひとりの「島民」として島の魅力を伝えていく存在になる、そんな関係性が生まれるこのプロジェクト。日本一人口の少ない自治体である青ヶ島からスタートして、いつの日か、日本中の島でそれぞれの「島むすめ!」の姿を見られる日がくるかもしれません。