鹿児島県の頴娃(えい)と甑島(こしきじま)で先進事例の視察を実施!

父島は「ありのままにいのちが輝く、別世界を生きる島」というブランドコンセプトの実現に向けて、これからも父島が父島らしくあるための取組をメンバーで話し合ってきました。その中で学びたいと思ったのが、他の地域での取組です。

「第9回東京宝島会議」でゲストスピーカーとして登壇した、鹿児島県薩摩川内市にある甑島(こしきじま)の山下賢太さんのお話は、「島」という環境に暮らす人間として共感と驚きに満ちあふれたものでした。島の中で仕事を作り、経済が循環し、島外からも多くの応援者がいるという甑島で、現地の方と交流し、父島に学びを持ち帰りたい。そんな思いで現地の視察を企画しました。

同じ鹿児島県内では南九州市頴娃町でもまちおこしの取組が盛んに行われており、観光地として、とても活力がある地域です。今回は地理的に近い頴娃と甑島の2か所を視察しました。

頴娃では、まちづくりを行っている団体である「NPO頴娃おこそ会」の加藤さんに現地での案内をしていただきました。

釜蓋(かまふた)神社では境内に置かれた釜の蓋を頭にのせて、鳥居から拝殿まで落とさずに行くことができれば願いが叶う、というユニークな参拝方法が有名ですが、数年前までは地元の人しか訪れない場所でした。しかし、観光マップを配ったり、周辺の公園を整備して地域を一体的に観光地化したりするなどの取組を行って今では全国から人が訪れるスポットとなっています。

「多様性」の動画では、父島の文化の多様性こそが魅力だというメッセージを発信しています。海の生物、陸の植生などの美しさはもちろんですが、島の人々が多様な人々をあたたかく受け入れているという想いを込めました。また、島で育った人も移住者も、様々なルーツの人がつながりあって暮らしていることについても、語っていただいています。

2023_chichijima2_img_01.jpeg(窯蓋神社で窯の蓋を乗せての参拝)

頴娃での事例を聞いて、伝統を守りながら、観光化を進める方法があることを学びました。頴娃では古くからの住民が移住者や若い人を受け入れる土壌ができているため、次世代に引き継げるまちづくりが進んでいるということも大きいようです。

甑島では、山下賢太さんのアテンドにより、空家再生の事例などを見せてもらうことに。

2023_chichijima2_img_02.jpeg(再生中の空き家の様子)

2023_chichijima2_img_03.jpeg(山下さんと父島みらい会議メンバーの意見交換)

甑島は、宿泊・飲食・土産物作りなど島の経済が回る事業を考え、まちづくりを行っていることが印象的でした。新しくものを作るだけではなく、あるものがどれだけ価値があるかを認識し、しっかりと活かすことが成功のカギとなっています。「父島みらい会議」のメンバーも、すでに島にある価値をしっかり生かしていくことの大切さを感じたようです。

また、まちづくりのキーパーソンとなっている方は、地域住民や地域の文化のことを考えて行動し、「父島みらい会議」が掲げる「生活主義」(地域の商品・サービスを地域の中で消費し、循環させ、島内での需要や消費を高めるという考え方)をすでに実行していることに感銘を受けました。

「父島みらい会議」では、この経験を今後の活動に活かし、他地域との交流を大切にしながら、父島が父島らしくあるための取組を続けていきたいと考えています。

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