次の世代に伝えたい!島の先輩に郷土料理レシピをヒアリング

御蔵島での2021年度の取組は、「島の郷土料理を伝承していく取組」に決定しました。厳しい自然環境の中、御蔵島の人たちは季節ごとに収穫できるものを使い、工夫をこらして独自の食文化を残してきた一方、多くの伝統的な料理は島の若い人たちも知らないものになってしまっています。

そこで、島の「宝物」である郷土料理を次世代に受け継ぐため、島ならではの「食の魅力」にあふれた郷土料理のレシピを記録することに取り組んでいます。

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まずは、島に住んでいる先輩方を訪れ、島の郷土料理とそのレシピについてヒアリングするところから始めました。

ヒアリングは8月に2回行い、御蔵島ご出身の80代のお2人のお宅を訪問してきました。一度は島を出たそうですが、10代のうちに島に戻ってご結婚され、現在に至ります。

お話で出てきた郷土料理は、今ではどれも見たことがないものばかり。御蔵島ではもう作らなくなってしまったサツマイモを使い煮詰めて作った「サツマイモの飴」や、米のとぎ汁に残り物の米や塩を入れ、そこに野菜をつけた「どぶ漬け」などの作り方を聞くことができました。どぶ漬けは家庭によって工夫をしていて、鰹節を入れたり、ニンニクや生姜を入れたりする家庭もあったとのことです。

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こちらの写真は「はやき」という御蔵島のよもぎと小麦粉、砂糖、などを水で混ぜ、揚げて作ったおやつのようなもの。素朴な良い香りがして、手軽に作れそうな一品です。

お話を聞く中で、想像以上に昔の島の生活は大変で、食料を得るのに工夫していたことが分かりました。野菜や肉なども余すところなく使っており、鳥肉を調理するときに出た脂は灯りの燃料として使用していたそうです。郷土料理を調べるうちに、いかに現在の生活が恵まれており、感謝すべきものかということを感じました。

これらのヒアリングをもとに、郷土料理のレシピを記録し、受け継ぐための活動を始めています。季節によって手に入る食材が違うため、まずは、季節ごとの郷土料理のカレンダーの作成に取り掛かりました。

その中でも、すでにレシピが残っておらず伝承できる人が少ない郷土料理を4種類選び、先輩から教えていただく機会を作っていく予定です。

今後は、受け継いだレシピをしっかり残すことが大切だと考えています。インターネット上のレシピサイトなども活用し、レシピを保存し共有することで、島の宝である御蔵島の郷土料理を次の世代にしっかり受け継いでいけるよう活動していきます。

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