モニターが教えてくれた御蔵島のさらなる可能性
御蔵島の山林に放任栽培され、冬の生活の風物詩である柑橘類「かぶつ」。
「冬の御蔵島おすそわけプロジェクト」は、そんな「かぶつ」を通して御蔵島の認知拡大とファンとのつながりを深めるための取組です。短い準備期間でしたが、メンバー総出の頑張りで「おすそわけセット」を無事に約100人に届けることができました。
おすそわけセットを受け取ったモニターには、アンケートへの回答をお願いしました。その目的は、「御蔵島の認知度向上や愛着につながったか」「冬の御蔵島の魅力が伝わったか」「かぶつの魅力は何か、どのように活用できるか」などを検証することです。
続々と寄せられたアンケート60件の結果をみてみると、回答者は30~40歳代の女性が中心で、関東地方の在住者から多く回答が寄せられました。これは御蔵島のファンの特徴でもあります。プロジェクトメンバーとしては、「この方たちから、まだあまり島を知らない知人におすそわけをしてほしい」という当初のねらいが達成できたのではと考えています。
また、想定外のうれしい反応もありました。実はこれまで島内では、「かぶつは当たり前にあるもので、大きな価値はない」と思われていました。しかし、モニターからは「完全無農薬のかぶつで安心できた」「季節もののかぶつが美味しかった」「個性的な味でいろいろと料理にチャレンジしたくなった」という高い評価が寄せられました。
かぶつを使った料理にチャレンジした人も多数。例えば「かぶつポン酢」のような調味料や、「かぶつジントニック」などお酒の割材に活用するといった手軽な使い方から、「かぶつクッキー」「かぶつパスタ」というオリジナルメニューに挑戦した方も見られました。中には、皮を天日干しして塩とあわせた「かぶつ塩」など、皮まで余すことなく使った方も。インターネット上のレシピ紹介サイトで、そんな活用を披露したモニターもいらっしゃったようです。
また、食用以外では「果汁と果皮は料理に、残りはお風呂に入れた」といった回答も寄せられ、かぶつを通した"体験"を楽しんだ様子がうかがえました。
そして、プロジェクトメンバーが特に喜びとともに受け取ったのは、かぶつの体験を通して「冬の御蔵島の良さについて知ることができた」という多くの声でした。「今まではイルカのイメージばかりでしたが、他にも島の魅力があることを知った。改めて目を向けたい」というコメントも寄せられました。メンバーにとっては、新たな「島の宝」を見出せるきっかけとなりました。
これまで東京宝島事業で検討を進めてきた「島内で集まれる場所づくり」。今回の取組とは一見関連がないようにみえますが、かぶつ畑に島の仲間が集まり、わいわいと収穫をしたことが、結果的に新しいチャレンジをする「場」を生み出すことにもつながりました。実際今回の取組を終えたメンバーからは「改めて御蔵島のことが好きになった」「島内でまだ自分の知らない魅力的な場所に出会えて感動した」という声も聞かれています。
今後はプロジェクトを通して寄せられた意見やアイデアを活かし、さらなる御蔵島の魅力向上と発信、ファンとのつながり作りに取り組んでいく予定です。