父島のこれからを考える、「父島みらい会議」をスタート!

父島では、2019年度から来島者向けログノート「おがログ」のほか、生態系や持続可能な社会について学ぶ体験型コンテンツ「環境保全プログラム」の検討を進めていました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大状況をふまえ、来島を前提とする「環境保全プログラム」の推進は見直すことに。現在の状況下では、観光コンテンツとして人を集めるプログラムをつくるのではなく、この機に、島の成り立ちや文化について、父島の未来を具体的に考えていこうと、「父島みらい会議」を立ち上げ、これまで4回の会議を開催しました。

2020年9月に開催した第1回「父島みらい会議」では、参加者各自がどんなことが島の課題だと感じているかを出し合いました。その結果、「島の生活は唯一のライフラインである「おがさわら丸」に大きく依存」「島内の食料自給率の低さ」「耕作放棄地の多さ」「住宅不足」などが課題として挙がりました。そして、できるだけ島内で生産・消費を循環させて経済を回していくことが島の将来に大切だという、目指す方向性を確認しました。

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10月下旬に開催した第2回の「父島みらい会議」では、産業連関表を用いた過去の調査から小笠原村の大まかな経済の流れを把握したあと、農業・漁業の生産規模、観光客の消費額などを確認しました。また、島の人も島内の商店ではなく、島外のネットショッピングの利用が多いという、最近の島内の消費行動についての意見があがりました。そのうえで、地域内循環を高めていく方策として、「島内での消費拡大が必要」「高くても買いたくなる新鮮な島の魚や農産物など島内の品ぞろえを工夫する」「観光だけではなく中長期間島に滞在する人たちをターゲットにする」といった意見が出されました。

その後、12月に行った第3回、第4回の会議では、「文化の客体化」と「社会的共通資本※」というキーワードをもとに、「小笠原のアイデンティティと守っていくべきもの」「父島にとっての社会的共通資本とは」について考えました。

※宇沢弘文(1928-2014年)等が提唱する、すべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にする公的材、インフラ等を指す。

今後も参加メンバーで「父島のみらい像」について話し合いを続けていく予定です

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