メインコンテンツへスキップ

毎年違う味わいの酒を 個性として楽しむ 八丈島酒造 4代目・奥山武宰士氏 インタビュー

取組レポート

2026-hachijo6_01.webp

八丈島酒造の4代目・奥山武宰士氏は、造り手であると同時に自ら原料を育てる農家でもあります。伝統と革新の酒造りについてお話を伺いました。

プロサッカー選手から造り手へ

―奥山さんはプロサッカー選手として活躍されていたそうですね。島に戻って家業を継ごうと決めたきっかけは何だったのでしょうか?

2026-hachijo6_02.webp

サッカー選手だった頃から「いつかは島に帰るんだろうな」という気持ちはどこかにありました。一番の大きなきっかけは子どもが生まれたことですね。 僕自身、小学6年生でサッカーのために島を離れて東京で暮らしてきました。都会の便利さも知っていますが、やはり八丈島の豊かな自然の素晴らしさは唯一無二。子どもたちには、島の環境でのびのび育ってほしいと思ったんです。

2026-hachijo6_03.webp

―現在はご家族で役割分担をして経営されていると伺いました。

僕と父が現場でお酒を造り、母と妻が併設している宿『蔵元の宿 八重椿』や、事務を切り盛りしています。完全な家族経営ですね。 東京で働いていた頃に比べると、時間の融通も利きやすいので、仕事の後に子どもを海に連れて行ったり、子どもが寝た後に少し作業をしたりと、ライフワークバランスは今の方がずっと良いと感じています。

2026-hachijo6_04.webp

八丈島酒造の銘柄たち

―八丈島酒造のお酒には、どのような特徴があるのでしょうか?

最大の特徴は、自分たちで1000坪ほどの畑を持ってサツマイモを育てていることですね。 普通、酒造りでは味の安定を求めますが、うちはあえて「毎年味が変わってもいい」と考えています。その年に採れた芋の個性がそのまま酒に出る、それが八丈島酒造らしい焼酎だと思っています。特に新酒の『江戸酎 蒼』という銘柄は、その年の芋の違いを楽しんでもらうための、ちょっと実験的で挑戦的な一本になっています。

―代表的な銘柄についても、ぜひ詳しく教えてください。

「八重椿」は創業当時からの看板娘です。麦焼酎のさっぱり感の中に、後からふわっと芋の香りが追いかけてくるブレンド焼酎で、とても飲みやすいです。「江戸酎」は、3年以上じっくり寝かせたタンクの原酒を使っています。これは比較的味が安定していて、僕が東京へ行く時もよく「江戸酎」をプッシュしています。「島流し」は、アルコール度数35度の力強い焼酎です。八丈島が新婚旅行のメッカだった頃、当時の兄弟たちで相談して名前を決めたという、思い出深い銘柄なんです。変わり種は「スパークリング焼酎」です。コロナ禍の時期に開発しました。度数を12%まで下げて、シャンパンのように楽しめるように3日間かけてガスを注入しています。

焼酎の需要と今後の展望

―最近は、東京の若い世代の間でも八丈島の焼酎が注目されているそうですね。

渋谷など若い店主のいる飲食店の方々が、創作料理に合うおいしい飲み方を提案してくれているんです。20代くらいの若い人たちが、熱心に焼酎を勉強して楽しんでくれている姿を見ると、こちらも力が入りますね。

2026-hachijo6_05.webp

―これからの5年、10年は、どのような未来を描いていますか?

農業をもっと頑張りたいですね。今は父と二人で力仕事をしていますが、これからも長く続けていくために、少しずつ機械化も進めています。 酒造りも農業も、自分の育てたものが伸びていくのを見るのは本当に楽しいんです。お酒をきっかけに八丈島を好きになってもらって、最終的には島を訪れて、この空気の中で飲んでもらえたら最高ですね。

【八丈島酒造合名会社】
https://www.hachijojimashuzo.com/

【蔵元の宿 八重椿】
住所:東京都八丈島八丈町大賀郷1577-1
TEL:080-8546-7302
URL:https://yaetsubaki-yado.com/

関連する記事