第3回青ヶ島島会議 開催レポート

青ヶ島に群生する亜熱帯性の植物「オオタニワタリ」

東京宝島事業では、島の住民が主体となり、各島の魅力について議論し磨き上げることで、島のブランド化を目指す「島会議」を行っています。8月29日・9月30日の2日間に渡って開催された青ヶ島の第3回島会議の模様をレポートします。

>> 青ヶ島の概要はこちら

8月29日に行われた第3回島会議(前半)には5名が参加。これまでの振り返りからスタートしました。まずはファシリテーターが前回までの議論内容を参加者に説明し、スタディツアー参加者からコンテナハウスメーカーや不動産事業者が運営する入居者向け食堂を訪問した視察内容を報告。

「タフに生きている」人々が暮らす青ヶ島の魅力を伝えたい

(@Makoto Harada)

次に、島のブランド価値についてディスカッション。
参加者は、気象の影響による来島の難しさに加えて、外から見た島の形(二重カルデラ等)も相まって、青ヶ島を、一種の「閉じられた状態」と表現。
続けて、不便な立地や厳しい自然環境下で何でも自分たちで取り組む忙しい日々の中で育まれた「島民のタフさ」も青ヶ島らしさである、という意見が挙がりました。

「自分たちは、島民との関わりを楽しんで欲しいが、実態はあまり島民に意識を向けず来島する人が多いと思う。また、景色を目的に来島する人が多いが、島民との関わりができて初めて、青ヶ島を感じることができると思う。青ヶ島で島民と関わって人生観が変わったという来島者もいる。」という話も出て、議論は熱を帯びます。

こういった環境で育まれた「青ヶ島らしさ」を踏まえ、ブランド価値は、「世界有数の大自然の絶景が広がり、上陸する人が限られている絶海の孤島で様々な困難にへこたれずタフに生きている人々に出会えること」というイメージが出来上がってきました。

人間力が試される場所。求められるのは、逆境を楽しむ心

続けて、青ヶ島のブランド価値を伝えたい象徴的顧客像(ペルソナ)について議論。
「色々な来島者を見てきたが、繰り返し来てくれるのは、タフに生きる島民との関わり等で人生観が変わるような経験や発見をして帰っていく人だと思う」
「青ヶ島は、船やヘリが欠航するし、キャンプ場でも水を手に入れることに手間が掛かる。不便なことが多いが、それすらも面白く感じる『人間力』がある人は、青ヶ島を楽しめると思う」

さらに、「こうした状況を、島から正しく情報発信する必要があると思う。それを知って来てくれる人は、青ヶ島を理解してくれて、価値に共感してくれるだろう」という意見が重なります。

こうした議論から、青ヶ島のペルソナは「自然、人、文化を大切にし、楽しむ心を持った人」と、イメージができてきました。

また、このペルソナは、「自分の可能性を広げたい」「視野を広げたい」「見たことのない世界を見てみたい」といった感覚を持っている人なのでは、という意見に一同が賛同しました。

青ヶ島の利点を生かしたアクションアイデアを追求

続く9月30日の島会議(後半)では、これまでに議論してきた青ヶ島のブランド価値と青ヶ島に来て欲しい人/関わってほしい人を掛け合わせながら、アクションアイデアを抽出しました。

参加者から挙がったアイデアは、「青ヶ島生活体験」「「魚突き(スピアフィッシング)体験」「内地でファンミーティングを開催」「お試し居住・リモートワーク」「手ぶらでグランピング」「パワースポットのPR」など多数。

これらのアイデアを元に、議論は第4回目島会議で訪れるスタディツアーの訪問先の検討に移りました。青ヶ島のアクションアイデアを具体化させるにあたって、どんな知識がほしいか、どんな人に話を聞きたいか、そういった視点を元に議論を進めた結果、本会議で挙がったアイデアだけに留まらず、青ヶ島の環境を味方にしたアクションプランを引き続き検討し、次回スタディツアーに向けて訪問先を調整する運びとなりました。

自分の育った島を大事にしてくれる人に来てもらいたい

8月29日に参加した広江拓哉さんは「お酒のない場所で島の将来を話すのは初めての体験。今日話し合った内容にはとても共感しました。自分の育った島を大事にしてくれる人に来てもらいたいのは会議参加者一同の願いですね」と会議を振り返りました。

9月30日に参加した佐々木加絵さんは、「島の人たちは皆さん忙しいので、こうした議論の場に参加するのは初めて。島にスピアフィッシングというアクティビティがあることを初めて知りました。色々なアイデアや知識を持つ人が集まっていて新しい発見がありました」と話しました。

青ヶ島の島会議は2019年度内にあと2回開催する予定です。今回のディスカッションで出てきた意見をベースに、今後のアクションアイデアを考えていきます。

会議のレポートをPDFを見る