スタディツアーレポート Bコース(新島)

Bコースは、モビリティ・プラットフォーム「CREW(クルー)」を提供する株式会社Azit(アジット)、地域体験マッチングサイト「TABICA(タビカ)」を運営する株式会社ガイアックスより講師をお招きし、講義形式でお話を伺いました。

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モビリティ・プラットフォーム「CREW」で島の交通課題に立ち向かう

モビリティ・プラットフォーム「CREW」は、地図上で出発地と目的地を選び"乗りたい方"と"乗せたい方"をマッチングするサービス。同アプリを展開する株式会社Azitのビジネス開発担当 岡本大祐氏から、事業内容などを伺いました。

株式会社Azitは、地方部、都市部それぞれに顕在する交通課題をIT技術の利活用によって解決を図る企業。同社は2015年にサービスを開始した「CREW」を使い、公共交通機関を補完する形で地域のモビリティ課題の解決に取組んでいます。

モビリティーサービスの運用について、安全面・法律面において特に注意している点は「ドライバーになるための審査基準の徹底」「現金のやり取りを発生させない事前登録したクレジットカードのみの決済方法」「国土交通省から通達された法律に沿った運営」の3つとのこと。

岡本氏は、過去に行った実証実験の中から、鹿児島県与論島の事例を紹介。
観光客7万人に対して、公共交通機関はバス1路線、タクシー8台と、公共交通機関だけでは観光客の移動需要を満たすことができない与論島で、2018年8月の1ヶ月間(観光客の移動をサポートするための実証実験を行いました。

台風の影響などで実質2週間の運用でしたが、アプリ利用回数28回、CREWパートナー(ドライバー)7名、CREWライダー(利用者)70名という実績で、多くの観光客がアプリを活用しました。

交通の中心となるのではなく、あくまでも足りない移動を補完する、という目的で取り組んでいるという岡本氏。参加者から、「実証実験から実働までの期間は?」「ドライバーの面接や研修方法は?」といった、実際に島に導入した場合を想定する具体的な質問が相次ぎ、岡本氏からは、実証実験から実働までは8〜10ヶ月かかること、面接や研修はCREWのスタッフが現地で実施することなど、一つひとつ丁寧にお答えいただきました。

個人の暮らしを体験としてシェアする「TABICA」

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次に講師としてお招きしたのは、株式会社ガイアックス TABICA事業部 高田大輔氏より、マッチングサイト立ち上げの経緯や事業内容を伺いました。

ガイアックスが運営する「TABICA」は、CtoCのローカルガイドマッチングサービス。観光名所巡りなどの定型的なパッケージになりやすい、従来の旅行会社が企画する「発地型観光」ではなく、地域の人が体験プログラムを企画し、個人に向けて提供しており、地域の文化や自然に根差した体験を楽しむことができる「着地型観光」サービスとして、「地域のファンを作る(リピーターを作る)」「持続可能なコミュニティの活性化を図る」という2つの目的を掲げ運用しているそうです。

サービスの例としては、横浜の農家が提供する「流しそうめん体験」や「夏野菜収穫体験」、カフェ歩きが趣味のサラリーマンが提供する「一緒に鎌倉のカフェ歩き」の他、離島地域では「小豆島で燻製体験」、「八丈島で朝ヨガ体験」など、多岐に渡っています。

体験を提供するホストは、地元愛が強い人たちの集まりでもあり、また、ゲストも一風変わったことを体験したいという人や、自然体験を求めるファミリー層も多いとのこと。お互いの需要と供給がマッチするので満足度や評価も高く、また、コーディネーター制度を設けており、スマートフォン操作に不安が年配の方にも活用いただけるとのこと。

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島内で取り入れられそうなTABICAの仕組みについて、参加者も興味津々で話に聞き入っていました。実際、島内で提供できそうな体験を考えたり、「プランを作って違う人が開催するというのは可能か?」「台風など天候による理由でキャンセルになる場合は?」「ホスト登録に料金は発生するか?」など、ここでも具体的な質問が相次ぎました。

参加者は島の課題や魅力と照らし合わせ、「TABICAとCREWの組み合わせで島が活性化しそう」と話し、今回のスタディツアーから島のブランド化に向けたヒントを得た様子でした。

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