スタディツアーレポート Aコース(利島)
Aコースは、徳島県の魅力をPRするアンテナショップ兼宿泊施設の「ターンテーブル」や「日本百貨店しょくひん館」、お米に注目したライフタイルショップ「AKOMEYA(アコメヤ)」など、地域の魅力を発信している市場(マーケット)を視察しました。
「ターンテーブル」で徳島の息吹を味わい、くつろぐ
最初に訪れたのは、若者文化の中心である東京都・渋谷駅の近隣にありながら、閑静な雰囲気が漂う神泉エリアの「ターンテーブル」。徳島県のアンテナショップで、2018年2月にオープンし、全4フロアで2Fまではレストラン、3Fから上はホテルという、ユニークな構成です。
ご案内いただいたのは、株式会社ターンテーブルの河野節店長。「コンセプトはお客様に"徳島を体感"してもらうこと」と語るとおり、レストランのテーブルには徳島県神山町の材木を使用し、県名産のスダチやニンジンをモチーフカラーとした家具を配置。地場食材をふんだんに駆使したレストランのメニューと共に、徳島の魅力を五感で味わうことができます。
「お客様とのコミュニケーションの中で、よく見ると徳島だと気付いていただけるように工夫した」。河野店長が重視したのは"さりげない"徳島らしさ。イスやテーブルのインテリアから、アメニティのシャンプーに至るまで、県在住のデザイナーやアーティストが、地元の息吹を館内の随所に根付かせています。一貫したコンセプトと世界観に、参加者からは驚きの声が上がりました。
「食材が届かないことはありますか?」「食材はどのように調達していますか?」などの質問が飛び、参加者の関心は専らレストラン運営。海上流通しかない島と比較すると、徳島とは橋を介して陸路でつながっているため、食材が届かないということはほぼなく、また、徳島県出身のオーナーや、徳島県に3年間居住していた料理長もいることから「徳島との強固なルートがある」と言い、仕入先と顔の見えるやり取りをしているとのことでした。
店内の壁面に描かれた一枚絵は、徳島と渋谷の融合を表現。異なる文化を他県の人に伝えるターンテーブルの事例を学び、神泉の地を後にしました。
世界のアキバで日本のモノづくりをPR「日本百貨店しょくひんかん」
次に向かったのは、国内外問わず多くの観光客を集める秋葉原。ここにある「日本百貨店しょくひんかん」は、日本のモノづくりを世界にPRする商業施設です。
食品売場が大半を占めており、日本各地の名産品が集結しています。人気が高いのは、愛知県の麩屋藤商店「たま麩」、宮崎県のTOMZY「鶏ハラミ炭火焼」、和歌山県の早和果樹園「有田みかん瓶詰」。いずれも各地の名産を職人たちがひと手間加えたことで魅力をさらに高めた逸品たちです。
この食品売場は5割が委託販売とのことで、副店長を務める竹田緑さんは、委託契約を結ぶ基準として「モノづくりにストーリーがあること」と説明。職人たちの思いが製品にどう込められているかを重視している様子でした。
また、製品開発における着眼点として「地元に良い影響を与えるか」「文化を残すために作っているものか」、この2点を重視していると話しました。地場の魅力を伝えること、商品そのものだけでなく、モノづくりの背景に向き合う同社の真摯な姿勢に、参加者一同が聞き入っていました。
「AKOMEYA」、お米は食を越えた文化になる
最後に一行が向かったのは、お米を中心としたライフタイルを提案する「AKOMEYA」。AKOMEYAは、お米がもたらす幸せを「福」と定義し、「福を分かち合う」をコンセプトとしたこだわりの逸品を数多く世に出しています。
株式会社サザビーリーグ・AKOMEYA事業部店舗運営課の春山浩晃マネージャーは、AKOMEYAの根底に流れるマインド「こだわりから作られるものには、人を幸せにする力が宿る。大切な人にもこの喜びを味わってほしい」と語りました。お米という存在を食に留めず、文化やライフスタイルにまで昇華しようとするAKOMEYA事業部の言葉に、参加者たちは真剣に耳を傾けていました。
また、事業部から説明を受けた後はAKOMEYA内の食事処でランチタイム。この日は土鍋で炊いたブランド米「ゆめぴりか」や、オリジナル味噌を使った味噌汁などに舌鼓を打ちました。
「仕入れている米農家のポリシーは?」との質問もありました。稲穂を健康に育てるため、はちみつを溶いた液体を散布するなど、無農薬へのこだわりに、参加者は米作りの奥深さを知った様子。AKOMEYAの徹底した世界観に大きな刺激を受けたようでした。
地域商材のマーケットを視察することで、その魅せ方や発信方法を知ることができた一行。島のいいところを伝えるために何をすればいいのか、様々なヒントを得た一日でした。