第7回~第10回も大盛況!「TOKYO ISLANDS MEETING」で東京宝島の暮らしや産品の魅力を発見

株式会社はじまり商店街主催による東京の島や島の人々の魅力を伝えるオンラインイベントシリーズ「TOKYO ISLANDS MEETING」は、2022年1月28日から3月9日まで全10回が終了しました。今回のレポートでは、第7回から第10回までの様子をお伝えします。

今回のイベントでは、登壇者と参加者がZoom上で集まり、ゲストのお話をもとにチャットや音声で交流を行っています。各イベントについてはFacebook とYouTubeにてアーカイブ化されています。また各回の様子を、わかりやすくイラストと簡単な文章でまとめた「グラフィックレコーディング」も、あわせてご覧ください。

第7回のテーマは『TOKYO ISLANDS MEETING Vol.7 幻のお酒「あおちゅう」の秘密〜絶壁の青ヶ島でつくられるあおちゅうの魅力に迫る〜』。今回のイベントでは、東京の島の全蔵の焼酎を販売している「酒の勝鬨」商品販売部長の堀口潤一さんと、青ヶ島酒造杜氏の奥山晃さんの2名に出演していただきました。青ヶ島で作られる焼酎は「あおちゅう」と呼ばれ、希少価値が高く、多くの工程が手作りで作られています。

青ヶ島には、荒井清さんが作る、本格焼酎に近いつくり方をする「青酎」と、奥山さんなど7名の杜氏が作っている「あおちゅう」と2種類の焼酎があり、製法も大きく分かれています。「あおちゅう」は数少ない一次仕込(どんぶり仕込み)製法で自然麹を使うことから作り手、製造年により味の違いがあり、それぞれの違いを味わうのが楽しみ方となっています。

「作り手によって味がこんなに違うとは知らなかった」「実際に青ヶ島の風土に触れて飲んでみたい」などの参加者の声が上がりました。

あおちゅうに使う麹について解説する奥山さん(右上)と堀口さん(右下・右側)

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第8回は「観光だけでは味わえない式根島の楽しみ方~島の人々と交流するワーケーション~」をテーマに、式根島でワーケーション環境の整備に取り組んでいる皆さんからお話をうかがいました。ゲストは新島村商工会の下井勝博さん、ファミリーストアみやとらの宮川央行さん、そしてゲストハウスひだぶんの肥田光代さんです。

「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた旅のスタイルとして注目されている「ワーケーション」。式根島では島の皆さんが検討を重ね、まず「しっかり仕事をする」環境を整えることで、観光の延長線上にあるスタイルとは差別化しています。また式根島では、オフシーズンの11月~4月にワーケーション利用者を受け入れることで、島の方々とのコミュニケーションをたくさんとれるようにしています。

島のワークスペースである「Shikinejima Coworking Space」は、働けるというだけではなく、1日座っていても疲れない椅子を導入し、高いセキュリティのネットワークを確保するなど、安心して仕事に取り組めることができるようにしています。
式根島では温泉や海岸にすぐアクセスできるなど、仕事と遊びの距離が近いからこそ、仕事の合間にランニング、気分転換に温泉など、健康的な生活環境が得られます。

式根島では、宿やお店など、島の方々が一体となってワーケーション環境の整備に取り組むことで、島での働き方や過ごし方の選択肢が増えています。参加者からも式根島でワーケーションをしてみたいという意見が多く聞かれました。

参加者からの質問に答える下井さん(左から2番目)、宮川さん(左から3番目)、肥田さん(右)

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第9回は「八丈島の風土が生み出す発酵食品の世界~島のチーズ、くさやの美味しさの秘密~」と題して、島の伝統的な名物「くさや」を作っている長田商店の長田隆弘さんと、島の牛乳から美味しいチーズを作り人気となっている「エンケルとハレ」の魚谷孝之さんの2名をゲストにお迎えしました。

長田さんからはくさやの製造工程についてお話をいただきました。くさや液は魚を入れることによって風味を生み出す菌が繁殖するため、作り続けなければ液がダメになってしまうとか。また、くさや液からは「海洋性希少放線菌 HKG02Y」という菌が東京農業大学により発見されており、これが抗生物質のような役割を果たす可能性があるとのことで研究が進められています。伝統的なくさやが色々な方面で役立つ日も近そうです。

魚谷さんは、八丈島に9年前に移住してから、島のジャージー牛乳を使ったチーズを作っています。そのチーズは八丈島だけでなく、全国のレストランでも使われるようになっており、海外の方も魚谷さんのチーズを求めて買いに来るようになりました。一方で島の酪農は規模が縮小しています。今後は乳製品以外にも食肉・革製品などを利用するなど牛の恩恵をあますところなく利用し、牛と共に「自然と景観を生産する」ことで、島の人口は減っても離島酪農を盛り上げていこうとしています。

お二人とも自分たちの事業を発展させるだけでなく、島の若い方たちに八丈島の魅力を伝える活動を行い、島の人材育成にも取り組んでいます。八丈島に対する熱い思いを聞くことで、ますます島に行ってみたくなるイベントとなりました。

参加者からの質問に答える魚谷さん(左上)と長田さん(右上)

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最終回、第10回は『人間らしく暮らし続ける島、「母島」の生活と農業〜日本一遠い島とつながろう〜』を開催。小笠原諸島の母島から宮城ジャイアンさん、小関耕紀さん、稲垣和仁さんの3名をお迎えしました。ジャイアンさんと小関さんは母島への移住組、稲垣さんは母島生まれの島っ子ということで、それぞれの立場からのお話も興味深いものでした。

母島には日本への返還を記念して行われるお祭りや父島とのスポーツ交流などの年中行事がありますが、基本的には島民自身で運営しています。フィナーレに開催される立派な花火大会も、島の皆さんが花火師の資格を取って打ち上げており、スケールの大きさを感じます。

また稲垣さんからは、島での農業について、土壌が粘土質で育ちにくい作物が多い一方で、研究を重ねて大人気のミニトマトやパッションフルーツを育てているというお話が聞けました。収穫の時期になると、ECサイト(小笠原産直市場)の予約がすぐに埋まってしまう人気商品です。

参加者の方からは島の生活の良さや大変さについても質問が出ました。都会のような便利な生活はできないものの、無いものは自分で作り、助け合って解決している姿に人間らしく暮らすとはどういうことなのか、そんなことを考えさせられたイベントとなりました。

島の生活の良さや大変さについて回答するジャイアンさん(右上)、小関さん(左下)、稲垣さん(右下)

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毎回それぞれの島の魅力、人の魅力に引き込まれ、「島へ行ってみたくなった」との声が多く聞かれるイベントとなりました。全10回の様子はアーカイブ動画を公開していますので、ぜひ様子をお楽しみください。

▼TOKYO ISLANDS MEETING アーカイブ動画一覧はこちら
https://youtube.com/playlist?list=PLQ-h2mgxTdenxw2K6fl8lZcQLJ0G6QSea