「第3回島会議」八丈島で開催!

11月20日、八丈島は八丈町商工会研修室で「第3回島会議」が開催されました。その模様をレポートします。

島にとっての象徴的顧客像を探る回

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む方々が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。11月20日、八丈島の八丈町商工会研修室(八丈町役場内)で、第3回島会議が開催。農家や酪農家、くさや製造業、宿泊業や自然ガイドなど、個性豊かな10人のメンバーが集まりました。

ファシリテーター主導のもと、まずは10月に開催された第2回島会議の振り返りを行いました。東京都心の4カ所(渋谷・世田谷・谷根千・清澄白河エリア)で行われたフィールドワークの概要と島の方々からの気づきをまとめ、もう一度共有。さらに、今回の島会議での目指すべき「ブランド」「ブランディング」とは、表層的なイメージではなく、固有の魅力的な個性(=らしさ)であること、また、他とは違う差違や優位性、そのサービスを選ぶ理由となるものを提示していくことが大事だということを改めて強調しました。

シーズン別の顧客像をイメージしたAチーム

第3回島会議の主たる作業は、「象徴的顧客像(ペルソナ)」を島会議メンバーで想像し、人物像を固めていくこと。この「ペルソナ」は、各島でブランドコンセプトを策定していく上でベースとなる大切なもの。強固なブランドであればあるほど、どのようなお客様に支持されているのか明確なものであり、万人に向けたブランディングよりも「この人に共感されたい」「この人に島を好きになってほしい」といったペルソナが明確な方が「島の宝物」がより魅力的に伝わるということを説明しました。

そして、参加者を2グループに分け「象徴的顧客像=ペルソナ」を探るワークを実施しました。150枚の人物写真のイメージカードから八丈島に合ったペルソナを絞り込み、A/B各チームが2枚ずつカードを選択。付箋に書き出した人物のイメージを模造紙にまとめ、チームごとに発表しました。

Aチームからは、春夏の繁忙期と秋冬の閑散期の顧客像として、異なるペルソナが描き出されました。

繁忙期のペルソナは、若い女性と子供の組み合わせで、経済的にも精神的にも余裕があり、欠航などのアクシデントや時間のかかる船旅も特別な体験としてポジティブに楽しむ親子像。「テーマパークのような既製のエンターテイメントを超える楽しさが島で得られる」などのキーワードも出てきました。

閑散期のペルソナは、55歳くらいの経営者男性。都会から近い隠れ家的な離島に魅力を感じ、歴史文化のフィールドワークを楽しむ知的好奇心があり、食や温泉をのんびり楽しむロングステイ志向の人物像です。

ファシリテーターからは「繁忙期、閑散期の二毛作の観光を考えられている点が良い。ディズニーランドに行くよりも八丈島の方がいいとの発言もあった。既製品ではない旅のワクワク感が得られ、『家族サービス』が八丈島ではポジティブワードに変わる」と講評しました。

閑散期のロングステイをイメージしたBチーム

一方Bチームでは、閑散期のロングステイやペットとの滞在を好む自然志向のペルソナをイメージ。最終的に2名に絞り込みました。

一人は、クリエイター・芸術系の30代女性「ユキちゃん」。八丈島へは心身の充電のために来島し、閑散期の島に通ううちに島に飲み友達もいる、島の自然や人との触れ合いからインスピレーションやエネルギーを得て、再び創作活動に向かう人物像です。写真を選んだ理由は「躍動感のある表情に何かを生み出すエネルギーを感じた」とチームメンバー。

もう一人は、ペットを連れた30代男性「サカモトさん」。愛犬家でペットに服は着せない、カメラは一眼レフ派など、少しこだわりのある人物像。会社では中堅リーダーを務めています。

両ペルソナに共通するのは「ロングステイ志向」で「島にまだきていない層」であること。議論の中から「インディーズ」(沖縄のようなメジャーな観光地とは違った魅力のある島)や「醗酵」(熟成に至る前のエネルギーを得て化学変化を起こせる島)といったキーワードも生まれました。

成功のためのKey for Success

休憩を挟み、前半で設定した各ペルソナに基づき、ペルソナに支持共感されるポイント「KFS(Key For Success)」を書き出すワークが行われました。ここでは「ペルソナ側から見たニーズ」「島にある要素でペルソナのニーズに一致するもの」2つの視点から考えてほしいと事務局よりアナウンスがあり、参加者は悩みながら、真剣な表情で取り組んでいました。

事務局は各チームの様子を見ながら、話し合いを活発化させる働きかけを行い、少しずつアイデアが出始めました。だんだん気持ちが乗ってくると、参加者からも笑顔がこぼれます。

貸別荘など「ロングステイできる宿泊施設」、リモートワークを可能にするためのネット環境として「何処よりも早く5G」など、様々な要素が出てきた中で、Aチームからは「希少性の活用・体験」というキーワードが新登場。Bチームからは「よされ(※)」「もう一つのふるさと」など、人との出会いがロングステイに繋がるとの新しい発見がありました。(※八丈島の方言で「おいで、いらっしゃい」の意味)

4つのペルソナを一つに

最後に、事務局が両チームのペルソナを整理し一つにまとめていきます。その過程で、繁忙期・閑散期のプロモーションでターゲットが変わってしまうため一つにまとめにくいことが課題となりました。

そこで、発信力のあるBチームのペルソナ「ユキちゃん」を核にし、他のペルソナたちを紐づける形で八丈島の象徴的顧客像を決定。次回の島会議までに各自がおすすめしたい「島の宝物」にペルソナのモチーフを入れた写真を撮影し、会議の場に持ち寄ることになりました。

会議終了後、会場の一角に飾られていた「東京宝島」のロゴが入った宝箱に、島会議で各チームが作成し発表に使った模造紙が納められました。この宝箱は、今年度島会議を実施している4島に設置されており、これから島会議を重ねるたびにそれぞれの宝箱の中身が増えてい

参加者の声

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